gesel's diary

万国のプレカリアート団結せよ 立憲民主党 社民党とれいわ新鮮組の力で変えよう

中日新聞 大飯原発記事

九日にも予定される関西電力大飯原発4号機(福井県おおい町)の再稼働を前に、同県小浜市原発から半径五キロ圏内にある全戸を対象に本紙が実施した意識調査で、ほぼ半数が再稼働に反対し、八割以上が廃炉を求めていることが分かった。小浜市は一部が五キロ圏にありながら原発の立地自治体ではないため、地元同意の手続きから外れている。調査では、住民の意思が反映されないまま再稼働が進んでいる実態が浮かんだ。
 大飯原発は立地自治体のおおい町福井県が再稼働に同意し、既に3号機が稼働している。小浜市で事故時にすぐ避難が必要な原発五キロ圏の「予防防護措置区域(PAZ)」にあるのは内外海(うちとみ)地区の一部で、昨年四月時点の人口は二百六十七人。調査は居住を確認できた六十五戸を訪問し、五十九戸の住人が回答した。
 大飯原発の再稼働の賛否では、「賛成」が十一人(18・6%)、「反対」が二十八人(47・4%)、「わからない」が二十人。賛否の理由を複数回答で尋ねたところ、反対理由では「避難計画に不安がある」を挙げた人が二十人で最も多く、次いで「原子力規制委員会や県が安全性を確認しても事故は起きる」が十八人だった。賛成では「地域経済に必要とされている」が五人で最多。「国策だから」が三人で続いた。
 また、小浜市が地元同意手続きの対象に入っていないことについては、全体の66・1%が「同意権が必要」との考えを示した。おおい町と県だけの同意で再稼働が認められる現状に「(事故時の)危険性はおおい町と変わらない」などと訴える人もいた。
 大飯原発を今後どうするべきかとの質問には、四十九人が回答。「将来的に廃炉」が二十五人で最も多く、「即廃炉」を選んだ十八人と合わせると87・7%が廃炉を望んだ。
 これらの結果に関電は「内外海地区でも全戸訪問や見学会などで理解を得られるよう努めている。今後も安全性向上の取り組みの説明を尽くしていく」とコメントした。
◆立地外自治体の理解必要
 <解説> 日本海に面して立地する関西電力大飯原発は、地元の福井県おおい町から山に隠れて見えないが、対岸の同県小浜市からは原子炉の屋根がくっきりと見える。本紙の調査で、原発の五キロ圏内に住む小浜市民には再稼働に納得していない人が多いことが明確となり、理解を得るプロセスが改めて問われる。
 再稼働の地元同意は法律で定められていない。福井県原発は国から再稼働方針への「理解」を求められ、地元がそれに応えてきた。大飯原発おおい町議会が全会一致で賛成し、町長と知事の同意で再稼働が進む。小浜市はすぐ隣ながら「立地自治体ではない」との理由で、意見を聞かれることはなかった。
 原発がある自治体だけの同意で再稼働すれば、事故が起きたときに周囲は「立地自治体が同意したせいだ」と言いだしかねない。再稼働を望むおおい町の関係者にも、自分たちが再稼働の手続きの前面に立たされて「悪者扱い」されることへの戸惑いはある。
 茨城県では、日本原子力発電が自治体と結ぶ任意の安全協定に再稼働への事前了解を盛り込み、同意範囲を拡大した。国は地元同意の法定化や範囲の拡大に否定的だが、周辺も含めて理解を得る仕組みが欠かせない。福島の事故を経験した今、被害は行政区分に関係なく広がることは明らかで、国と電力会社は周辺自治体の住民が抱える不条理と向き合うべきだ。

 (福井支社報道部・中崎裕)