gesel's diary

万国のプレカリアート団結せよ 社民党と自由党の力で変えよう

秘密保護法 日弁連

特定秘密保護法案に反対し、ツワネ原則に即して
秘密保全法制の在り方を全面的に再検討することを求める会長声明

国が扱う情報は、本来、国民の財産であり、国民に公表・公開されるべきもので
ある。「特定秘密の保護に関する法律案」は、行政機関が秘密指定できる情報の
範囲を広くかつ曖昧に設定し、かつ、運用の実態は第三者がチェックできない一
方で、このような情報にアクセスしようとする国民や国会議員、報道関係者など
のアクセスを重罰規定によって牽制するもので、まさに行政機関による情報支配
ともいうべき事態である。

当連合会では、本年9月12日に「『特定秘密の保護に関する法律案の概要』に
対する意見書」を、同年10月23日に「秘密保護法制定に反対し、情報管理シ
ステムの適正化及び更なる情報公開に向けた法改正を求める意見書」を公表し、
同月25日に「特定秘密保護法案の閣議決定に対する会長声明」を公表した。当
連合会の相次ぐ意見表明に対して、新聞やテレビ、ラジオ、雑誌、インターネッ
トニュースなどがこぞって法案を問題とする報道を行うようになったこともあり、
多くの国民が法案に関心を抱くとともに、法案の賛否に関わらず早急な成立を望
まない声が日増しに強くなっている。このような国民の意向を受けて、政府及び
国会には、法案の慎重審議が強く求められている。

ところが、政府及び与党は、法案を慎重審議するどころかむしろ短期間で成立さ
せようとしている様子さえ窺える。政府及び与党が我が国における法案の重要性
を強く認識するのであれば、尚更のこと、国民の理解と納得を得られるよう、法
案の内容を検討し直すべきである。

「国家安全保障と情報への権利に関する国際原則」(以下「ツワネ原則」という
。)は、自由権規約19条等をふまえ、国家安全保障分野において立法を行う者
に対して、国家安全保障への脅威から人々を保護するための合理的な措置を講じ
ることと、政府の情報への市民によるアクセス権の保障を両立するために、実務
的ガイドラインとして作成されたものであり、本年6月、南アフリカ共和国の首
都・ツワネで公表されたものである。

当連合会では、これまでの提案を踏まえ、ツワネ原則による法案の見直しと撤回
を求める。
以下、ツワネ原則に則して特定秘密保護法案の問題点を指摘する。

1 ツワネ原則1、4は国家秘密の存在を前提にしているものの、誰もが公的機
関の情報にアクセスする権利を有しており、その権利を制限する正当性を証明す
るのは政府の責務であるとしている。しかし、法案にこの原則が明示されていな
い。

2 ツワネ原則10は、政府の人権法・人道法違反の事実や大量破壊兵器の保有
、環境破壊など、政府が秘密にしてはならない情報が列挙されている。国民の知
る権利を保障する観点からこのような規定は必要不可欠である。しかし、法案に
は、このような規定がない。

3 ツワネ原則16は、情報は、必要な期間にのみ限定して秘密指定されるべき
であり、政府が秘密指定を許される最長期間を法律で定めるべきであるとしてい
る。しかし、法案には、最長期間についての定めはなく、30年経過時のチェッ
クにしても行政機関である内閣が判断する手続になっており、第三者によるチェッ
クになっていない。

4 ツワネ原則17は、市民が秘密解除を請求するための手続が明確に定められ
るべきであるとしている。これは恣意的な秘密指定を無効にする上で有意義であ
る。しかし、法案はこのような手続規定がない。

5 ツワネ原則6、31、32、33は、安全保障部門には独立した監視機関が
設けられるべきであり、この機関は、実効的な監視を行うために必要な全ての情
報に対してアクセスできるようにすべきであるとしている。しかし、法案には、
このような監視機関に関する規定がない。

6 ツワネ原則43、46は、内部告発者は、明らかにされた情報による公益が
、秘密保持による公益を上回る場合には、報復を受けるべきでなく、情報漏えい
者に対する訴追は、情報を明らかにしたことの公益と比べ、現実的で確認可能な
重大な損害を引き起こす場合に限って許されるとしている。しかし、法案では、
この点に関する利益衡量規定がなく、公益通報者が漏えい罪によって処罰される
危険が極めて高い。

7 ツワネ原則47、48は、公務員でない者は、秘密情報の受取、保持若しく
は公衆への公開により、又は秘密情報の探索、アクセスに関する共謀その他の罪
により訴追されるべきではないとし、また、情報流出の調査において、秘密の情
報源やその他の非公開情報を明らかすることを強制されるべきではないとしてい
る。しかし、法案にはこのような規定がないどころか、第23条ないし第26条
の規定によって広く処罰できるようにしている。

この原則の策定には、アムネスティインターナショナルやアーティクル19のよ
うな著名な国際人権団体だけでなく、国際法律家連盟のような法曹団体、安全保
障に関する国際団体など22の団体や学術機関が名前を連ねている。この原則に
は、ヨーロッパ人権裁判所やアメリカ合衆国など、最も真剣な論争が行われてい
る地域における努力が反映されている。起草後、欧州評議会の議員会議において、
国家安全保障と情報アクセスに関するレポートにも引用されている。

当連合会は、政府が安全保障上の理由によって一定の事項を一定の期間、秘密と
する必要があると判断し対応していることを、全面的に否定するものではない。
しかし、このような対応を許容することによって、国民の基本的人権である言論
の自由、プライバシー権が侵害されるべきではない。

法案に上記のような構造的な問題点があることが明らかであるから、政府は、法
案を一旦白紙に戻し、現存する国家公務員法自衛隊法などの中に含まれる秘密
保全法制も含めて、秘密保全法制の在り方を根本的に見直すべきである。

2013年(平成25年)11月15日
                 日本弁護士連合会    
                          会長 山岸 憲司